Southeast Asia Program 2010


今年もまたLearning Across Borders主催のSoutheast Asia Program (SEA2010) が開催された。約3週間をかけてタイ・マレーシア・シンガポールの3ヶ国を縦断しながら、実体験を通じて現地で一体何が起こっているのかを学ぶスタディープログラムである。日本を中心としたアジア各国の学生から構成される20名定員のグループで現地を巡り、様々な人々との出会いを通じて政治・経済・文化を多面的に学んでいく。スラムなど社会問題の現場に足を踏み入れたり、起業家とディスカッションしたり、ファームステイしたりなど、濃密な時間の連続といってよいプログラム構成となっている。もともとドワイト・クラークさんによってスタンフォード大学内に設立された非営利教育機関Volunteer in Asia (VIA) をベースに1991年から運営開始されたプログラムで、2004年からはスピンアウトして新設された非営利教育機関Learning Across Bordersにて継続的に運営されている。

僕は大学4年生のとき、偶然、大学の講義に告知に現れたドワイトさんからプログラムの案内を聞いて直感するものがあり、2001年に参加した。以来、実に10年にわたって一緒に活動させて頂いており、今回の現場引率サポートは僕にとっては10周年になる。それだけ本当に魅力的な場なのである。最初は参加者、次はSA(学生アシスタント)、その次はマネージャー、現在はアソシエイト・ディレクターという形で、プログラムの事前事後サポートやファンドレイジング基盤構築などに参画させて頂いている。ドワイトさんが自ら引率するハンドメイドのスタディープログラムで、決して大規模展開するようなものではない。言うなれば、量と質でいうところの「質(クオリティ)」に断然こだわる。それでいて、誰にでもオープン。高いモチベーションと最低限度の英語力さえあれば、全ての学生に門戸が開かれている。


気がつけば10年にわたって活動に参画しているわけだが、僕自身のモチベーションは、何よりもこの活動が本当に楽しいということに尽きる。グループのみんなと一緒に旅しながらディスカッションして、新たなインスピレーションを得て、またそこからアクションに繋がっていく。これほどエキサイティングなことはない。さらに言えば、自分が広く社会に創出したいと思っている「ワクワク感を起点として人の特性を引き出す教育モデル」の原型を直感的に見出しているのだとも思う。ただ、教育というのは、拠所とする教育観によって、教育手法も教育コンテンツも変わる。そして、教育観は価値観に基づくものであり、人の価値観はそもそも多様であることから、教育が多様になるのは至極当然である。したがって、教育に正解はないと思う。それを踏まえた上で、もし、僕が志向している教育観に共感して下さる方がいるのであれば、構想の具体化の中で喜んでそれを推進していきたいと思う次第である。