獨協大学講義『NPO論』
NPO法人キーパーソン21の経営戦略担当理事として、獨協大学の全学総合講座『NPO論』の講義を担当させて頂いた。今日のテーマは、「キャリア教育事業の実践を通じたNPO活動の実態』。早いもので、NPO論の講義を担当させて頂くようになって3年目となるが、毎学期、このような形で学生のみなさんにNPOの現場の話を共有させて頂いている。1年生を中心に300名超の受講者のみなさんを対象として大教室で90分の講義をもつわけだが、僕がいつも挑戦しているのがインタラクティブなワークショップ・タイムの導入。というのも、一方的に話を聞いていても面白くないので、できるだけ体感的に学びが残るようにしたいと思っているのである。そこで、キャリア教育の現場をイメージしてもらうため、普段は中学校の教室で30人程度の生徒を対象に実施しているキャリア教育ワークショップを300名超の学生のみなさんの前で実演した。
今回、僕がデモ的に実演したワークショップは、『すきなものビンゴ&お仕事マップ』。ゲームを通じて、自分のすきなものを洗い出し、その中の一つをキーワードにして、それに関連する職業や仕事などを連想していくものである。例えば、自分のすきなものとして「サッカー」というキーワードが出た場合、サッカーに関連する職業や仕事をどんどん紙に書き出していく。中学生に「サッカーに関連する職業や仕事は何ですか?」と尋ねると、「選手」「監督」「コーチ」以上というのが通例である。しかし、適切なファシリテーションをしていくと、「スポーツカメラマン」「ユニフォームを作る人」「オーナー」「本を書く人」など色々な連想が出てくる。このプロセスを大学生のみなさんにも体感して頂くのである。すると、だんだんキャリア教育というNPO活動が何たるかがイメージできてくる。こうした現場感の想起こそ、NPOとは何なのかを考える導入として大切だと思うのである。
すると、今度はそもそもNPOって何だ?ということを知りたくなる。ここで、現場感覚をもって、きちんと論理的に分かりやすく説明を加えることが非常に大切だと思う。僕自身、かつて学生のときにNPOというものには興味を覚えるけれどもいまいち良く分からず、大学の講義で教授の話を聞いてはみるものの、どうも煙を巻かれた感を拭いきれない状況であった。結局、研究者は薀蓄を解説しているだけで、端的に本質を語れていないのだと思う。だからこそ、僕は、実践者としての経験を踏まえながら、自分が当時知りたかったことを少しでも学生のみなさんにお伝えしたいのである。営利-非営利という分類の不自然さ、NPO=ボランティア団体と曲解されている所以など、素朴な疑問に対する明快な答えをきちんと出すべきだと思う。とは言えども、僕自身も試行錯誤しながらの講義展開ゆえ、引き続き、精進したいと思う次第である。