アショカ・フェローWeeraさんとの対談
Learning Across BordersのSoutheast Asia Programでアショカ財団のバンコクオフィスをグループで訪ね、アショカ・フェロー(アショカ財団が選出した社会起業家)のWeera Suwannachoteさんとのブリーフィング・セッションをもたせて頂いた。Weeraさんの推進するThai Youth News Center Projectはメディア×教育を主軸とした取組で、タイの中高生世代の子どもたち(12~18歳)に社会問題等をテーマとするニュース番組の制作および放送の機会を与えることによって、子供たちへの教育機会を創出しながらタイ全土に向けて社会問題意識を喚起する。僕が7年前にNPOで教材化した小中高生世代を対象とするキャリア教育プログラムの内容と重なるところが大きく、Weeraさんに3年前にお会いして意見交換したときに意気投合して以来、facebookでコンタクトをとって繋がっていた。今回、対面では3年ぶりの再会となる。
ブリーフィングはアショカ財団のバンコクオフィスのフロアで行われ、Weeraさんには取組の概要と進捗についてアップデートして頂いた。要約すると、タイ全土にわたって提携学校数を着実に伸ばしながら、取組を確固たるものへと進化させていると言える。Weeraさんは、もともとタイの人気テレビ番組プロデューサーとして様々な番組制作を手がけていたのだが、社会に望ましくないと思われるようなプロダクトをも訴求せざるを得ない状況に葛藤が増していったという。加えて、ある年に突然、自分の身近な芸能人や友人を次々と亡くして人間がいとも簡単に姿を消すことに衝撃を覚え、ご自分の存在意義について考え直し始めたと語る。自分の人生を通じて、意味のあること/社会のためになること/国に残せることをやりたい。その想いからテレビ局を退職し、自身のキャリアを活かす形でThai Youth News Centerを立ち上げられたと伺った。
アショカ財団バンコクオフィス代表のSinee Chakthranontさんによると、Weeraさんをはじめとするアショカ・フェロー(すなわち、アショカ財団の定義する社会起業家)はどのようにして生まれるのかについては内部でも議論が分かれているという。先天的にDNAで既定されているものなのか、後天的に育成されるものなのか。僕は、どちらもあると思う。というより、自身の経験も踏まえると、社会のために何か為したいという情熱は、生々しい原体験に基づくものだと僕は思っている。自身も幼少の頃からの一つ一つの実体験が積み重なって今の自分をドライブさせる強力なエンジンになっているし、Weeraさんの取組の原点を伺ったときも非常に近い印象を受けた。具体的な実体験こそ、人をパッションに基づいたアクションへと導く。そんな哲学が、“多様な実体験”を促進する社会モデルを創りたいという僕の衝動を生み出している。
With Sinee (Left) & Weera (Right) at Ashoka Thailand