道のカフェで考える復興への道@気仙沼&陸前高田
東京から一ノ関に入ってスタッフ全員が結集し、チャーターバスで気仙沼へ。10/1-2の2日間にわたって開催する「道のカフェ」が幕を開けた。道のカフェは、スターバックス、キヤノン、松下政経塾の連携によって初夏に発足した復興支援プロジェクトで、震災後の生活を送られている皆様がオープンスペースでコーヒーを飲みながら対話できるカフェ空間を創出することにより、コミュニティーづくりを支援させて頂く取組である。フォトジャーナリストのみなさん、日本プライマリケア連合学会のみなさんの特別協力を頂きながら、道のカフェでは写真撮影&贈呈企画やヘルスチェック企画を実施。コーヒーを飲みながら落ち着いて話をしつつ、ご家族やご友人と一緒に写真撮影やヘルスチェックも…。そんな場づくりで地域再生に少しでもお役に立てればという想いが、僕たちの取組の原点にある。
道のカフェは、単なる一過性のイベントではない。地域コミュニティで道のカフェを開催したいと立ち上がって下さった地域リーダーのみなさんと一緒につくっていく中長期の恊働プロジェクト。つまり、開催自体は一日イベントではあっても、実はカフェ準備から実施後のフォローまで長い期間を通じて育む対話プロセスこそが、信頼関係を築いていくコミュニティーづくりなのである。それは、地域内外の“繋がりづくり”と言ってもよい。事実、10/1の道のカフェ@気仙沼では地域リーダーの武田雄高さんと松下政経塾現役塾生の杉島理一郎さん、10/2の道のカフェ@陸前高田では仮設住宅自治会長の金野光悦さん&佐藤一男さん、陸前高田高校・前校長の戸羽茂先生がそれぞれの開催をリードして下さり、我々プロジェクトチームと恊働して数ヶ月にわたる準備の中で地域内外のつながりを作ってきた。
道のカフェ@気仙沼は、ゲストハウスアーバンという式場の庭で開催された。震災時には川津波で瓦礫の山になってしまっていた当地が、地域の皆様の懸命なる活動を通じて半年経った今はカフェ開催が可能な状態までに。敷地内にはスターバックス号を中心にパラソル・机・椅子が設置され、あっという間に素敵な空間となった。開催時間前から長蛇の列ができ、結局、1時間の延長。多くの皆様に道のカフェを味わって頂けたことが嬉しい。道のカフェ@陸前高田は、夏開催から継続して米崎中学校仮設住宅敷地内で開催された。温かい日差しが降り注ぐカフェ空間で、偶然に久しぶりの再会を果たして喜ぶ声が聞こえる。いずれの開催会場でも、地域のボランティアスタッフのみなさんはスターバックスのグリーンのエプロンをつけて、自ら率先して一緒に道のカフェ空間を作って下さっていた。
さて、今回の秋開催にあたっては、道のカフェのもう一つの目的でもある、被災地を忘れないために現状を伝えていく「全国への情報発信」にも力を入れてきた。道のカフェのプロジェクトサイトを設置しての情報発信もその一つ。そして、今回は自分が日頃お世話になっているFMラジオ局の全国ネットワークであるJFNさんの多大なるご協力を頂き、全国ネットのFMラジオ番組『ON THE WAYジャーナル WEEKEND』の特別企画として、道のカフェを舞台に様々な方々へインタビューして被災地の今を伝える機会を頂いた。カフェ会場で自身はパーソナリティとしてインタビュー役を務め、気仙沼では衆議院議員の小野寺五典さん、気仙沼市長の菅原茂さん、地域リーダーの武田雄高さん、陸前高田では市長の戸羽太さん、副市長の久保田崇さん、仮設住宅自治会長の佐藤一男さんにお話を伺った。
今回の取材をまとめたJFN『ON THE WAY ジャーナル WEEKEND featuring 道のカフェ』は、10/15, 22, 29の3週にわたって放送予定。詳細はオンエアに譲りたいが、カフェ会場にお越しになっていた地域の皆様への多数のインタビューを通じて、自身も改めて深く考えさせられた。震災から半年経って仮設住宅での生活は回り始めているとはいえ、職という経済基盤や仮設住宅の期限満了後の生活拠点など、現実的な課題は極めて重い。さらには、自治会組織が機能している地域はまだ良いにせよ、そもそも自治会が体を為していない部落も多数存在しているという事実。地域の皆様へのインタビューを通じて浮き上がってきた切実なる声が忘れられない。一方で、この現実の中で前進していかなければならないのもまた事実。前向きに考えるきっかけとしてのカフェ空間は、一つの希望の形になり得るのかもしれない。