JFN: 赤坂憲雄さんとの対談
今月下旬に2週にわたって放送される全国ネットFMラジオ番組 JFN “ON THE WAY ジャーナル WEEKEND” の対談パーソナリティを務めさせて頂き、半蔵門のスタジオで収録を完了した。今回のゲストは、東北学を提唱して数々の書籍を執筆されたきた民俗学者で、復興構想会議メンバーとして活躍される学習院大学教授の赤坂憲雄さん。福島をはじめ東北各地の現場を歩きながら赤坂さんが見てこられた被災地の姿を率直に伺いつつ、東北が歩んでいく道筋について多角的な視点による深堀を試みた。当然、直ちに何か結論めいたものが出るような議論ではない。しかし、対話を深めることで見えてくるものもある。赤坂さんの言葉には被災地の現場の重みが確かに息づいており、とりわけ「少子高齢化とともに過疎化する社会構造の中で被った原発事故からの再出発」という未曾有の課題を抱えた福島の話には、改めて我々の考えるべきことの大きさを感じざるを得なかった。
今日の対談の中で印象的だったトピックの一つは、復興における草の根の力の重要性である。勿論、政治や行政が復興のために既存の枠組みの中で尽力しているのは分かる。一方、日々の事態は地域の現場で起きている。国の動きを待ってはいられない。ゆえに、地域に住む一人一人が立ち上がって動かざるを得ない。当然、その地に住んでいなければ分からない過酷な境遇に違いない。しかし、地域住民が主体的に行動を起こしていくことに勝る力はない。それが、地域や国の政策をも変えていく。その草の根の力こそ、今後の地域を創るキーになるのではないか。近代の社会モデルが音を立てて崩れる中で、改めて自然に内包される人間の持続可能な社会モデルを考えるとき、自然とともに生きるという基本精神のもとで「自分たちの地域は自分たちで創る」という社会像が自ずと浮き彫りになっているように感じた。