ヤンゴンレポート
教育NGOのLearning Across Borders "Myanmar/Burma Program 2012" ヤンゴン編がコンプリートを迎え、続いてマンダレー編に突入した。東大・慶大・早大・台湾大・チュラロンコーン大の学生からなるグループは、非常に刺激的で多くの学びがある。今回、自身はヤンゴン編までの随行スタッフ参画で、マンダレーに飛び立つグループを見送った後にバンコク経由で東京へ。3年ぶり4回目のミャンマー入りによって、変化する現場の実態をリアルに体感できたことは大きな収穫となった。限られた期間ながらも、多様な訪問先での取材を通じてミャンマーの今が浮かび上がったように思う。
ヤンゴンでの主な訪問先は次の通り。国連(UNICEF)、在ミャンマー日本国大使館、ディプロマティックスクール、郊外スラム、ローカルティーショップ、マーケット、新設ショッピングモール、コンビニ、一般民家(典型的住居)、パゴダ、国立博物館、チャイナタウン、海賊版DVDショップ、デザイン系ソーシャルベンチャー、ジャーナリスト、一般市民、他。すなわち、パブリック/ビジネス/ソーシャルセクターを多面的に見ることで、政治・経済・文化などを俯瞰したことになる。僅か1週間弱でこれだけ多様な現場を深く取材できるのは、偏にプログラムディレクターのドワイト・クラークさんの信頼ネットワークによる。
印象に残った変化は、以下7点。1)政府によるメディア検閲の緩和。市民の政治談義も可能となり、ペーパーメディアも成長。2)大型ショッピングモールや近代的ショップの出現。ややタイのバンコク化を想起。3)外国人観光客の増加。明らかに3年前より遭遇率高し。4)自動車数増による交通渋滞の発生。自動車関税の緩和で輸入車購入が進む一方、交通インフラの未整備から市内各地で交通渋滞が発生 。5)自動車周辺ビジネスの活性化。輸入業が大幅に躍進中。6)スラムの拡大。ヤンゴンの都市化の進展の影にスラム化あり。7)Wi-Fiスポットの増加。以前よりネット環境は大幅改善。
総じて、ヤンゴンの変化がスピードアップしているのは間違いない。8年前、4年前、3年前の訪問時の観察と比較すると、明らかに変化のスピードが違う。自分のお気に入りであるミャンマーローカルのティーショップ(人々が気軽に集える大衆向けカフェのようなもの)の周囲にも、近代的なショッピングモールが目につくようになった。率直なところ、街並を無機質化・均質化する変化を見ると、なぜか残念に思ってしまう。ただ、地域の方々に話を聞くと、彼らは近代的な街並への変化を求めている。都市発展のプロセスでは不可避なのだろうか。都市開発のあり方に益々の関心が深まる。