NEED: 農業分野の地域リーダー育成による社会変革
チェンダオからチェンマイ中心部に戻り、実践的な農業教育を基軸としてミャンマー人の若手コミュニティリーダーを育成する非営利教育機関 NEED(ニード:Network for Environmental and Economic Development)に足を運んだ。2006年にタイ・チェンマイをベースにミャンマー人のKhaing Dhu Wan氏によって設立された当機関は、農業を中心に地域コミュニティづくりを推進したいと考えている有為の若手人材をミャンマー各地から選抜して招聘し、全寮制で6ヶ月の集中トレーニングを行うという非常に興味深い取組を展開している。約2エーカーの農場を拠点としてサステイナビリティに配慮した農業手法を学ぶプログラムはMFI (NEED's Model Farm Initiative) と名付けられ、稲や野菜の栽培を中心とする農業技法だけでなく、コミュニティビルディング、リーダーシップ、研究技法、ITスキル、英語など地域コミュニティづくりを推進する上で必要なノウハウが取り入れられている。創設者からの熱いブリーフィングは、ビジョンにかける想いが込められていた。
実際に生徒のみなさんに各自の問題意識や私生活について聞いてみると、彼らの意識の高さが如実に伝わってくる。大きな変化の渦中にあるミャンマーの政治状況についても各自の着眼点をしっかりと持っており、今後のミャンマーの地域コミュニティの中でどのように活動していくべきかを模索している姿が強く窺えた。このような有為のミャンマーの若手人材が、国境を超えてタイ・チェンマイで大いに学んだ上で自国に戻り、各自の地域コミュニティで力を発揮していくサイクルは非常に興味深い。さらに、NEEDの"N"はNetworkであることからも分かる通り、プログラムの卒業生らがネットワークを形成してお互いの実践事例を共有するプラットフォームへと進化しつつある。設立5年と若い組織であるものの、ソーシャル・イノベーションに結実する可能性を秘めた注目のNEED。この取組に我々も大いに学び、自身のフィールドに是非応用していきたい。